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管理栄養士に聞く!
賢く活用して栄養を偏らせない スーパーフードの摂り入れ方

数年前からブームが続いているスーパーフード。その賢い摂り方について、管理栄養士で調理科学の研究者でもある、東京家政大学の小林理恵さんが解説します。毎日の食生活のなかに、上手くスーパーフードを取り入れ、毎日を健康に過ごす方法とは?
小林理恵 ◎文 管理栄養士 写真◎漆戸美保

古くから人々に親しまれて来たスーパーフード

口から摂取した食べ物は、ほとんどすべてが身体に何らかの影響を与えており、健康を維持するためには、まず食事を見直すことが大切です。健康を維持、増進するための食品の価値を決定する要因は「栄養性」「安全性」「嗜好性」「機能性」であるとされています。また、食品には食欲を満たし豊かな生活へと結びつける「嗜好性」、疾病予防や生体防御などに関わる「機能性」も備わっています。

しかし、食品の各特性は多様ですから、「〇〇を食べれば……」という安易な情報に流されないでください。1つの食品だけで健康増進を図ることは不可能です。ですから、たとえば「一汁三菜」といった和食の献立のように、多数の食品を組み合わせて食事を摂ることが大切です。

本テーマである「スーパーフード」も、スーパーマンのように突如現れた万能な食品ではありません。これらも古くから人々に親しまれてきた食品であり、イメージとしては、先ほど挙げた食品の特性のうち、「栄養性」と「機能性」に“比較的すぐれている食品”であると捉えるとよろしいと思います。

例えば、牛乳や小魚と同じようにカルシウムを多く含むスーパーフードには、アマランサスやマカなどがあります。「骨粗しょう症予防のために、若いうちから牛乳や小魚を毎日の食生活の中に取り入れましょう」と学生たちに話すことがあります。このような提案をすると、時々「私は、牛乳は苦手なんです」と言われることがあります。そのときには、牛乳を飲むことを無理にすすめません。「ヨーグルトやチーズだったらどう?」と提案します。その人が“おいしい!”と思える食べ物を取り入れた方が、食生活は楽しくなるからです。スーパーフードも、そうした選択肢の1つとすれば良いでしょう。

栄養性・機能性だけでなく香りや色も楽しめる

スーパーフードの栄養性や機能性については、容易に情報を入手することができますが、その嗜好性については食べる人それぞれに異なって感じられます。

ですから、経済的に入手しやすく、おいしいと思えるのであれば、スーパーフードも健康増進に利用する食品として、大いに選択肢の1つとなりうると思います。 つまり、いくら栄養性、機能性が高い優れたスーパーフードであっても、おいしくなければ食べ続けることはできませんし、その恩恵を受けることはできないのです。

スーパーフードを上手に取り入れるには、準備が必要です。皆さんの五感に満足する食品なのか、一度、少量を購入して試してください。例えば、私はキヌアを初めて口にしたとき、ボソボソとした食感とコクの無い味が苦手でした。

しかし、もったいないので、いろいろな料理に「ちょい足し」をし、適度な粘りのある白米に少量足して主食で食べたり、味の濃いきんぴらごぼうにゴマ代わりに少し振り掛けたり、コクのある白和えや胡麻和えなどに混ぜることで、私の苦手な特徴がカバーされることが分かりました。また、白米を含む穀類は一般的にリジンというアミノ酸の含有量が少ないために、タンパク質の栄養価が低いのですが、キヌアはリジンを多く含むため、白米と一緒に食べると、タンパク質の栄養価が向上する『アミノ酸の補足効果』にもつながります(図)。

その他に、私は朝食にヨーグルトを必ず食べるのですが、時々、アガベシロップで甘みをつけ、マキベリーの粉末を入れて鮮やかな色を楽しんでいます。アガベシロップの甘味の主体は果糖で、果糖は低温であると砂糖よりも甘味を強く感じるため、使用する量は砂糖より少なくなることも、利点の1つです。

スーパーフードは栄養性、機能性ばかりが注目を浴びがちですが、甘味、香り、色を添えるために使えるものもあるでしょう。真の健康食とは、「楽しい食卓」「おいしい食事」です。スーパーフードを日常生活に取り入れる最も難しいポイントは、いかに「おいしく」食べられるかであると、私は思っています。つまり、「おいしさ」を生かせる工夫ができれば、それこそが、スーパーフードの賢い摂り方だと思います。

ここでは、炭水化物に偏らない、スーパーフードを使ったパン料理のレシピを2つ紹介します。

マキベリーチーズブレッド

●材料(2人分)
クリームチーズ…………… 30g
マキベリーパウダー……… 小さじ1/4
ヨーグルト………………… 大さじ1
レモン汁…………………… 5滴
ドライレーズン…………… 10〜15粒
マヌカハニー……………… お好みで
お好みのパン

●作り方
①レモン汁を加えたヨーグルトとドライレーズンを混ぜ合わせて一晩おく。
②クリームチーズはマキベリーパウダーを加えてよく練り、①を加えて混ぜ合わせる。
③軽くトーストしたパンに2を塗り、マヌカハニーをかけていただく(レーズンの甘味だけでもおいしいので、マヌカハニーが無くてもOKです)。

●POINT
○ヨーグルトやレモン汁の酸を使うと、マキベリーの色(アントシアニン)がより鮮やかなピンク色になります。
○マヌカハニーは腸内の善玉菌の餌になり、ヨーグルトやチーズなどの発酵食品と併せていただくことで腸内環境を整える効果が期待できます。

エッグサンド

●材料(2人分)
バター………………………… 12g
アマニオイル………………… 3g
練りうに……………………… 小さじ1/3
ブロッコリースプラウト…… 1/2パック
かたゆで卵…………………… 2個
塩……………………………… 少々
食パン………………………… 4枚

●作り方
①バター、アマニオイル、練りうにをよく練り合わせて食パンの内側に塗る。
②かたゆで卵は輪切りにして食パン1枚に乗せ、軽く塩をふり、ブロッコリースプラウトをその上に乗せる。
③上からもう一枚の食パンをのせて、硬く絞った布巾で包み、しばらく重しをして落ち着かせた後、好みの形に切る。同じようにもう1つつくる。

●POINT
○味に特徴が無いブロッコリースプラウトは、個性的な味(甘くて濃厚なウニ、アマニオイルの苦味)の食品に合わせて、複合味を楽しみましょう。
○ブロッコリースプラウトのスルフォラファン、アマニオイルのα‐リノレン酸は熱に弱いので、非加熱調理がおすすめです。サラダ以外にサンドイッチの具材として使用するのはいかがでしょうか?

プロフィール小林理恵(こばやしりえ)さん

東京家政大学家政学部准教授。管理栄養士。専門は調理科学。監修書に『スーパーフードの教科書』(マイナビ出版)、部分執筆書に『新版 健康と食生活』(学文社)、『調理を学ぶ[改訂版]』(八千代出版)などがある。